会社の看板と実績よりも担当者の実績と経験が重要
初めてウェブサイト(ホームページ)やECサイト(ネットショップ)の制作を外部企業に依頼する際、その制作会社あるいはフリーランスの個人を選定する必要があります。
また現在取引がある場合でも状況次第で変更する余地があるかもしれません。
今回は特に地方を中心とした中小企業、個人事業主の方にとって必要な制作会社の選び方を考えていきます。
会社の看板・実績は参考程度に
ウェブサイト制作会社の選び方に限った話ではありませんが、商談の中で会社の看板いわゆる知名度や過去の制作実績が出てくるケースは珍しくありません。
当然、依頼者からすれば全く実績のない会社や個人より実績豊富な方がいいと考えるでしょう。
受託側も営業資料やウェブサイトに実績を掲載したり、会社としての規模や知名度を売りにする場合もあるでしょう。会社の看板という意味では、多くの人が知っている大手企業やそのグループ会社。
地方であれば「地元で有名なIT企業」というだけで何となく信頼感が増すでしょう。
もちろん、これはブランディングの成功事例。会社のブランドが信頼感や安心感を与えるのは素晴らしいことです。
長年にわたる広告宣伝や広報活動そして実際の案件をこなした実績のたまものです。
しかし、落とし穴もあります。
特に受託側の企業規模が大きければ大きいほど、その可能性が高まります。
会社の実績が担当者の実績とは限らない
企業選定において、おおよその流れは問い合わせ、商談、見積もり、そして検討比較して決定となるでしょう。
決定した企業と契約を結び、実際の制作や必要な準備が進んでいきます。
こうした制作工程において重要なのが、担当者です。
ウェブサイト制作の場合、主な登場人物は下記の通りです。
- 営業:主に契約までの商談や見積もりを担当
- ディレクター:契約後、実際のプロジェクトを円滑に動かす担当
- デザイナー:サイトのデザインやバナーなどの制作物を担当
- エンジニア:コードを書く作業を担当(コーダーやプログラマーとも)
もちろん案件内容によって様々ですが、ここで重要なのは誰がどの担当なのか、です。
注意すべきは営業とディレクターが違う担当者になる場合です。
つまり契約前の商談を営業が行ない、実際に仕事が決まったらディレクターが担当する場合、当初営業が言っていたこと、強みや必要事項が満たされない=ギャップが生まれる可能性があります。
多少のギャップは仕方ないですが、悪質な場合、ベテラン営業マンが仕事を獲得し、実際に担当するのは経験の浅い新人、なんてことも起こり得ます。
特に大手企業、社員数が多い企業は注意が必要です。
受託側としては営業段階で会社の看板・実績をアピールできます。
一方、経験の浅い新人には実務を経験させたい。こうした思惑があると対外的な要素は経験豊富な先輩が仕事を取ってきて、取り込んだら新人に、という流れはある意味自然なことです。
もちろん新人が担当すること自体は悪くないですが、であればしっかり経験者がメイン担当になり、新人はサブ担当であるべきです。
つまり、契約前の営業と契約後実際に担当するディレクターが同じ担当者であれば、こうしたリスクは回避できます。
また中にはデザインあるいはコーディングまで担当できるケースもあります。個人で稼働されているフリーランスの方であれば企業のいち担当者よりも広い範囲をカバーしていることも珍しくありません。
企業も最後は個人に紐づく
ウェブサイト制作に限った話ではありませんが、企業(法人)は個人と別人格とはいえ、最終的には個人に行き着くものです。
いくら会社として豊富な実績があっても、実際の担当者がその実績をすべて作り出しているとは限りません。
また冒頭で書いた「地元では有名な会社」も場合によっては注意が必要です。
ある一定の実績を積んで規模が拡大してくると、紹介が紹介を呼び、勝手に仕事が入ってくるようになります。
紹介自体は私自身も重要視しており、それ自体は肯定的ですが、逆手にとって努力を怠る企業も少なくありません。
特に地方自治体からの仕事を受けている場合、リテラシーの高くないけど予算は持ってる自治体に対して、予算に満たない品質を平気で納品する事態も起こり得ます。
こうなると「地元で有名だから勝手に仕事がくる」がかえって悪い方向にいっています。
そういった意味で、どの企業や個人に依頼するにしても、必ず「担当者が誰なのか」を念頭に置いて選んでいただくのが理想的です。
業界の実績がなくても技術があれば作れる
最後に私の経験も踏まえて「実績」についてお話しします。
よくあるのが「弊社と同じ業界の制作実績はありますか?」というケース。
確かに同じ業界なら雰囲気やコンテンツ、あるいは業界に対する知識など「あって損はしない」でしょう。
特定の業界に特化した制作会社さんは強みです。
一方、そこまで大規模なサイト(例えばシステムを使って様々なデータを連動させるなど)ではない限り、業界の実績がなくても制作は可能です。
むしろ業界を知らない方が、他社と似たり寄ったりにならず独自のデザインやコンテンツを作り上げることができる可能性は十分にあります。
実績は大事ですが、あまり固執せず実際に担当する目の前の担当者と密にコミュニケーションを取っていただき、どれだけ自分の会社にコミットしてくれるか、自分ごととしてプロジェクトに参加してくれるかが重要です。
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